2.任意保険について

  1. 加害者が任意保険に加入していれば、加害者の任意保険会社に対して直接保険金を請求すること(直接請求)ができます。ただし、この場合においても、消滅時効に気をつけなければなりません。
    任意保険の直接請求権は、加害者に対する損害賠償請求権の存在を前提とする権利です。したがって、その時効期間は、裁判や和解等によって加害者の損害賠償責任が確定した日の翌日から3年が原則となります。
    また、加害者に対する損害賠償請求権が時効によって消滅してしまった場合も、任意保険の直接請求はできなくなってしまいます(以上、標準約款6章28条)。この点、民法724条によれば、加害者に対する損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年で消滅するとされているところ、通常の場合、「損害及び加害者を知った時」とは事故発生日を指します。もっとも、ひき逃げ等により加害者が特定できない場合には、「加害者を知った」とはいえないので、事故から3年が経っていても時効が完成していない可能性があります。
  2. 加害者が保険に加入していなかったり、加害者の任意保険では十分な解決が図れないようなケースにおいては、被害者ご自身が加入している任意保険(人身傷害補償保険、無保険者傷害保険等)を使って、保険金の支払いを受けることが考えられます。この場合の時効期間は、保険金請求権が発生してから3年となりますが(標準約款6章27条)、当該保険金請求権がいつの時点で発生するかは対象となる保険ごとに異なります。この点は、保険会社へ直接の問い合わせをするのが確実です。
 
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