Q②-23:裁判基準の”8割”という基準
保険会社から、賠償額の提案があったのですが、「裁判基準(赤本基準)の8割を提示します」と書かれています。この「8割」には、何か特別な決まりがあるのでしょうか?
A:単なる保険会社の内部規定に過ぎません。裁判をした場合の時間と手間を考えた上で、保険会社側から譲歩を促しているのですが、金額が妥当ではないと判断したら、ADRや裁判を通じて賠償を勝ち取りに行く姿勢が重要です。
「8割」というのは、あくまで単なる保険会社の内部規定に過ぎません。一部の論拠としては、「新しい交通賠償論の胎動:創立40周年記念講演を中心として」(東京三弁護士会交通事故処理委員会編、ぎょうせい発行)という書籍の中に、「裁判官が『慰謝料8割獲得を目指すのが交渉だ』と言っている」という記載がありますが、そもそも、保険会社の基準があまりに低すぎるため、そういった警鐘も兼ねて書かれたものですので、特別の決まりは一切ありません。ただし、適正な賠償額を勝ち取ろうとした場合は、ADRや裁判は必至であり、時間と手間、費用がかかるのも事実です。それらを鑑みて、保険会社側も譲歩を促しにきているという実情もありますので、提案を呑むメリットが無い訳ではありません。
慰謝料が妥当ではないと判断したら、ADRや裁判を通じて、適正な賠償を勝ち取りに行くという姿勢が重要です。その際は、ぜひ弁護士への依頼をご検討ください。弁護士特約に加入していれば、発生する弁護士費用のほとんどを、ご加入の保険会社が支払うことになりますので、安心して弁護士に依頼することが可能です。