2.椎間板ヘルニア
2 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは,椎体と椎体の間に収まっている椎間板の一部が突出している状態をいい,椎体のすぐそばには神経が存在するため,椎間板が突出することによって神経を圧迫し,痛みなどの症状が出ます。
(1)画像所見
MRIによる画像上では椎間板が後方に突出して見えます。また,レントゲン検査では椎体の変化によって椎間板ヘルニアの存在がわかります。
(2)問題になる点
交通事故では,画像で椎間板の突出が見られる場合に交通事故により生じる外傷性ヘルニアか,加齢によって生じる椎間板の変化かの区別が問題となります。加齢による変化であれば,交通事故との因果関係はないため,交通事故による後遺障害としては認められません。
ア 外傷性ヘルニアについて
椎間板は,ゼラチンのような髄核と髄核を包む線維輪で構成されています。そして,一部の椎間板の髄核が線維輪を突き破って突出しているような場合には外傷性ヘルニアと考えられます。
外傷が原因の場合は,一部のみに衝撃がかかるため,一部の椎間板のみに変性をきたすことが特徴です。またMRIのT2強調画像では髄核が白く見えます。
イ 加齢による変化について
椎間板全体にわたって髄核が突出していれば,加齢性変化と考えられます。この場合,髄核は線維輪を突き破ってはいません。また,加齢による変化の場合は椎間板がみずみずしさを失っていますので,MRIのT2強調画像では髄核が黒く見えます。突出した椎間板の周りが石灰化して棘のような骨棘が見られるのも特徴です。