むち打ち
むち打ち症とは首(頸部)に急激に外から力が加わることによって鞭のように首がしなることを原因として、起きる様々な症状をいいます。 交通事故による外傷は、さまざまなものがありますが、もっとも多く発生し、また、賠償上の問題をもっとも多く含むのが「むち打ち(損傷)症」です。
なお、「むち打ち(損傷)症」は正式な診断名ではなく俗称です。 診断名は「外傷性頸部症候群」「外傷性頸椎症」「頸部捻挫」「頸椎捻挫」になります。
衝突時、首が前後にムチのようにしなることからそう呼ばれるようになったようですが、もともとは自動車が出てくる以前からあり、「Whiplash:むちひも」と呼ばれていました。 乗馬で、馬の尻にムチを当てると馬が驚いて前に飛び出し、そのとき頭が後ろに放り出されてその後首の痛みが続くということから起こったようです。
むち打ち症の起り方
人間の首の動きは、一般的に前後方向ともに60°程度とされています。 その運動範囲を超えて、それ以上に伸びたり(これを「伸展」といいます)屈めたり(これを「屈曲」といいます)した場合、首の周辺の組織が伸びたり切れたりして症状がでるのです。 追突のなかでも、後方より衝突された「追突」によるものがもっともむち打ち症を発症されやすく、全体の90%を占めるといわれています。
正面衝突の場合は、目の前で今から衝突することを予知できる場合が多いので、衝突に備えて首の筋肉が緊張状態になり、伸展や屈曲を筋肉の力で減らすことが出来ることから比較的軽度で済みます。
それに比べて追突の場合は、不意に後ろから衝突することが多く,しかもまず後ろに首が進展して,その後に急激に前に屈曲すること全く危険予知していないことが多いので、首の筋肉は弛緩していて、軟部組織(靭帯)のみに過大な力が加わって、損傷が起こり易くなるのです。 また、必ずしもそのような過伸展・過屈曲がなく振れは小さくても、衝撃が大きければ起こりうるとも言われています