4.シンチグラフィ

シンチグラフィ(シンチグラム)とは,ラジオアイストーブという放射性同位体を含む薬剤を体内に注射し,専用のカメラで放射性同位体から放出される放射線を検出して,得られたデータを画像化する検査方法のことです。

放射線を使用するため,被曝があり,拘束時間も15~60分と長くなってしまいますが,代謝画像が得られるというメリットがあります。

交通事故による傷病の判断においてシンチグラフィが使用されることが多いのが,脳脊髄液減少症です。

脳と脊髄は硬膜という膜に覆われ,硬膜と脳・脊髄の間は髄液で満たされています。そして,この髄液の圧力は一定に保たれていますが,交通事故などにより硬膜が破れ,髄液が漏出すると髄液の圧力が低下し,めまいや起立性の頭痛などを引き起こします。この脳脊髄液が漏出したことによりめまいや起立性頭痛などの症状を引き起こす病気を脳脊髄液減少症といいます。

交通事故の被害者が訴えるめまいや起立性頭痛などが髄液の漏洩による脳脊髄液減少症によるものなのか検査するためにシンチグラフィが使用されます。

脳脊髄液減少症の検査では,硬膜の下にラジオアイストーブを注射し,放射性同位体の分布を画像化します。もし,硬膜外に放射性同位体が出ていれば,本来,硬膜の外に漏れない髄液が硬膜外に漏れていることがわかります。

このようにシンチグラフィは,髄液の漏出を画像化できる検査であり,脳脊髄液減少症の診断に有用な検査です。

もっとも,シンチグラフィによって髄液の漏出が見られなかったとしても,ただちに脳脊髄液減少症であることが否定されることにはならず,ブラッドパッチという脳脊髄液減少症の治療によって症状が改善したなどの手法によって脳脊髄液減少症であることを証明することもできます。

 
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