Q②-6:健康保険利用のための手続

Q:交通事故の治療で健康保険を利用するためには、どのような手続きをする必要があるのでしょうか?

Aまずは、治療先の医療機関に健康保険を利用することを伝えて下さい。そのうえで、ご自分の健康保険組合に連絡し、必要書類を取り寄せ、作成する必要があります。

1.医療機関に健康保険を利用することを伝える

まずは、治療先の医療機関に健康保険を利用することを伝えて下さい。交通事故の治療は自由診療が用いられることが割合多いため、きちんと伝えないと後々トラブルとなってしまいます。

■病院が健康保険の利用を拒否する場合

医療機関によっては、健康保険の使用を拒む場合があります。理由としては、

  • 「交通事故の怪我の治療に健康保険を使用することはできない」と勘違いしている
  • 自由診療の場合と比べて収益が下がることに難色を示す

の2点が考えられます(診療単価の話については、「Q②-5:労災保険や健康保険を利用すべき場合」をご覧ください)。
前提として、健康保険法や国民健康保険法は、交通事故による怪我の治療を保険給付の対象から外していませんし、旧厚生省が健康保険機関に対して通達し周知しています。
ただし、医療機関全体の方針として、「交通事故の怪我の治療は自由診療しか受け付けない」としているところが無い訳ではありません。医師には診療の求めに対し応じる義務がありますが、仮に違反したとしても罰則がある訳ではありません。そのような場合は、素直に健康保険の利用を受け付けてくれる医療機関を探す方が賢明です。

2.健康保険組合から必要書類を取り寄せる

次に、ご自分の健康保険組合に連絡し、必要書類を取り寄せるようにしましょう。
基本的な必要書類としては、

  • 第三者行為による傷病届
  • 事故発生状況報告書
  • 念書(同意書)
  • 交通事故証明書または人身事故証明書入手不能理由書

などですが、健康保険組合ごとに必要書類や様式は異なるので、組合に確認してみることが大切です。
このうち、「第三者行為による傷病届」については、健康保険を使用する原因となる傷病が、第三者からの(不法)行為によって生じたことを届け出るものです。また、「念書(あるいは同意書)」については、治療費のうち健康保険組合が立て替えたものについて、後日加害者(あるいは任意保険会社)あてに請求することに異議の無いことを表明するものであったり、請求時に医療機関からの被害者の診療報酬明細書の写しを添付することなどに同意するものであったりします。

なお、必要書類の中には、相手方(加害者)が作成する必要があるものや、作成にあたり相手方の協力が必要となる書類がある可能性がありますが、交通事故の賠償にあたり相手方の協力を得ることは非常に難しいとされています。そのため、相手方に保険会社がついていない等、加害者と直接連絡を取らないといけない場合においてそれが難しい場合、揃っていなくてもよいとされます。詳しくは、健康保険組合に相談してみるとよいでしょう。

 
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