Q②-8

交通事故の怪我で通院していましたが、相手の保険会社からある日突然「そろそろ〇ヶ月経つと思うので、一括対応を打ち切る」と言われてしまいました。自分としてはまだ病院に通いたいのですが、どのようにすればいいのでしょうか?

A:具体的に「あと何ヶ月は通いたい」というような期限を区切った延長交渉をするか、交渉が難しければ、治療費を抑えるため、健康保険等に切り替えて通院を続けるとよいです。

保険会社の治療費一括対応は、被保険者(加害者)が損害賠償の支払義務を負っている前提で、その範囲内で示談前に賠償金の内払い(先に賠償金の一部を支払うこと)を履行するという、いわば保険会社のサービスです。そのため、保険会社は必ずしも一括払を履行しなくても良いので、正直に言えば、被害者から打ち切りを止めることは難しいでしょう。

通常、一括対応は保険会社の定める症状固定時期までが対象期間ですが、症状固定時期については裁判所の判断と相違があることが多いのです。保険会社の定めた症状固定時期が、裁判によって遡って間違いであったとされる場合もあるかもしれませんが、一括対応を保険会社の判断で中止したことを咎められることはありません。

保険会社の定める症状固定時期は、傷病別に定めていることが多く、例えば頸椎捻挫等のむち打ち症状の場合には、事故後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月等を区切りとして一括対応打ち切りの打診がある事が多いです。中には、通院先の病院に医療照会を行い、医師の見解を基に打ち切り時期を判断する保険会社もありますが、保険会社の形式的な基準や状況だけで判断し、打ち切りを強行してくる保険会社も無い訳ではありません。

最初に説明した通り、被害者の希望だけで一括対応の打ち切りを止めることは非常に難しいので、やはり弁護士に交渉を依頼し、延長が認められるような資料をきちんと揃えてもらうことが重要でしょう。しかし、それでも一括対応というサービスの性質上、無制限に一括対応を延長することはできないため、そこには一定の理解が必要です。そして一括対応をしてもらっている間に、今後の治療の方針などをきちんと整理して決めておくことが重要です。そのうえで、一括対応打ち切りの打診があった場合には、以下のような対応を取ると良いでしょう。

(1)期限を区切った延長交渉を行う

保険会社というのは、一括対応に際して、先の見通せない状況を嫌う傾向にあります。そのため、先行きが不透明な交渉では、保険会社が応じる可能性は低いでしょう。そのような時は、「あと1ヶ月延長して欲しい」というように、終期を明確にした交渉をすることが重要です。もっと言えば、期限延長後に示談交渉を行うという約束をしておけば、早期解決が見込めるため、保険会社にも延長を承諾するメリットがあります。いうまでもありませんが、具体的に何か月延長すべきか、については、一般的な傷病の治療経過の類型や、医師面談による医師の見解などに基づいて導き出すべきです。

(2)健康保険(労災保険)に切り替える

あくまで、一括対応の打ち切りは保険会社の定める症状固定時期に基づいて行われます。その後の症状固定時期の争いは訴訟に委ねられますが、決着が付くまでは、通院費は自分で負担しないといけません。この場合、自己負担を少しでも抑えるためには、健康保険(労災の場合には労災保険)の利用について検討すべきです。健康保険法と国民健康保険法において、交通事故の治療費を健康保険から給付することは否定されていませんので、原則として交通事故の受傷で健康保険を利用することは可能です。なお、中には健康保険利用を拒む病院もありますが、一部例外を除き、健康保険利用は否定されませんので、きちんと説明をしましょう。

 
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