Q③-6

リースしている車両を使用していて事故に遭った場合、誰がどのような損害を請求できるのでしょうか?

A:車両の損害については、全損か部分損かによって分かれ、全損の場合は、事故車両の金銭的価値の評価に基づき、所有者であるリース会社が請求できますが、部分損で利用者が修理をした場合は利用者が修理相当額を請求できるとされています。また、場合によっては、リースの中途解約金や、事故車両の価値下落分を請求できる可能性もありますが、可否の判断は容易ではありません。

残価設定型ローンやリース車両による事故被害の場合、車両の所有者は会社ですが、利用者が直接の被害者ということが多いです。事故による物損の程度に応じ、請求の主体が変わるため注意が必要です。

■会社が請求の主体となるもの

・時価額+買換諸費用(全損時)
・格落ち損害、評価損害(部分損時)※要注意

■利用者が請求の主体となるもの

・修理費用(部分損時)
・代車費用 
・リース契約の中途解約金 ※要注意

通常、交通事故の物損の賠償範囲は、事故車両の時価額の範囲までとされます。上記の「※要注意」と記した損害項目については、特別な事情によって生じるとされることから「特別損害」と呼ばれます。特別損害を実際に請求できるかどうかは、次の考えにより判断されます。

①損害として予見できるか否か?

その特別損害が、その事故において起こり得るものだと(加害者側が)予想できたかどうかです。主に、リース契約の中途解約金については、リース会社とリース契約者間の個別の契約で定めた債権であり、果たして加害者の損害賠償責任は及ぶのでしょうか。自分がぶつかってしまった車両がリースの車両だという認識ができるパターンは非常に絞られてしまうと思いますが、例えば、被害車両が工事用車両であった場合に、工事用車両が通常リースで使用されることが多いという実情を踏まえると、加害者側において予見可能性があったとして、リース契約の中途解約金を損害として認めた裁判例が存在します。

②二重取りとなっていないか?

リース契約の中途解約金には、未払リース料や手数料等のほか、事故によって毀損したことを前提とする車両価額相当額が反映されているのが一般的です。他方、格落ち損害・評価損害というのは、車両の価格を金銭的価値として数値的に表し、諸要素を考慮して価値が下がったとされる金額分を補償するものです。つまり、所有者であるリース会社が、リース契約の中途解約金を受け取り、その上で更に格落ち損害・評価損害を加害者に請求すると、事故車両の時価相当額の二重取りが起こる可能性があります。そのため、それぞれの算定根拠などをもとに、時価相当額の二重取りになっていないかどうかを分析することが重要です。

こういった議論のそもそもの出発点は、「リースだったり、残価設定型ローンだったり、車両を利用する形態は様々だが、乗り方によって賠償が変わるというのはおかしいのではないか」というところからです。特別損害が、請求できる損害として認められるかどうかは、個別具体的に判断せざるを得ません。事実、裁判例には、肯定例も否定例も同数程度存在するというのが実情です。

 
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