Q③-5

評価損や格落ちとは何ですか?

A:事故車両を「修理しても外観や機能に欠陥を生じ、または事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に認められる」(レッドブック参照)物損の請求費目のことです。

一番例として存在するのは、「ディーラーに聞いたら〇万円は下がると言われた」というものです。当然ですが、事故車両を修理したとしても完璧に事故前の状態に戻せる訳ではありません。その戻らなかった部分について、車両の商品としての価値が下落すると評価される場合には、そこを物損の請求費目として、実際に請求できる可能性があります。この評価損や格落ちについては、2段階思考が必要です。

1段階目:格落ち損害・評価損害は認められるか?

裁判例においては、

・事故車両の車種
・同型車の時価
・走行距離(外国車及び人気車種は約6万km以上で認められにくく、それ以外の車種は4万km以上で認められにくい)
・初年度登録からの期間(外国車及び人気車種は5年、それ以外は3年を経過すると認められにくい)
・修理の程度

などを総合考慮した上で決定されるとしています。なお、一般財団法人日本自動車査定協会に依頼することで、事故減価格証明書を発行してもらい、格落ち損を計算してもらうことも可能です。

ただし他方で、「事故車両の査定額が下がったとしても、車両を使用している限りは、現実に所有者に損害が生じる訳ではないので、事故前に車を売却する具体的な予定が合った場合にのみ認めるべき」という主張がされることが多々あります。もちろん、裁判例の中には、転売の予定がなかったとしても格落ち損が現に発生すると考えるべきであると判断する例もあります。また、修理歴を載せないといけない場合に現実的に査定額が下がる場合、同じく格落ち損を争う可能性がありますが、車両の損害が修理によって完全に原状回復がなされたものと判断され格落ち損が認められなかった裁判例も存在しますので、現実的に査定額が下がる=格落ち損・評価損が発生したとはならない点にも注意が必要です。

2段階目:認められるとして、その損害評価はどうなるか

格落ち損害・評価損害自体は認められたとして、その具体的価格についても問題となります。

算出方法としては、

・事故時の車両の時価から修理後の価格を控除したもの
・事故後のあるべき時価の割合によるもの
・修理費の一定の割合とするもの
・諸要素を考慮して金額を決めるもの

などが存在します。使用割合としては、「諸要素を考慮して金額を決めるもの」がほとんどで、特に割合は修理費用の10%~30%とされていますが、任意交渉ではほとんどが10%であり、訴訟を提起しなければ大きく取っていくことは難しいのが実情です。なお、修理費用の10%~30%では納得がいかない場合、赤本やLACマニュアル付属の資料に事例が多く掲載されているため、そちらを参考にすることも可能です。

 
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