Q②-20

被害者請求を行ったのですが、結果は非該当となってしまいました。この結果に対し、異議申立をしたいと思うのですが、どのようなものを提出するとよいのでしょうか?

A:神経学的所見の推移を証明した書類や、愁訴の一貫性を証明する書類、また、後遺障害の存在に伴う収入減少の裏付け資料や、日常生活動作の不具合などを主張した陳述書などが例として挙げられます。また、事故の衝撃を客観的に証明するものとして、事故車両の写真や修理見積書など、物損事故の程度を示す資料も有効です。

前提として、被害者請求及びその異議申立の調査は、加害者側自賠責保険会社にて請求を受け付けると、損害保険料率算出機構の調査事務所に付託されます。被害者請求については、原則一定の地域ごとに設立された調査事務所で調査が行われますが、高次脳機能障害など重度後遺障害に該当する可能性のあるものは、本部審査となります。また、異議申立の場合も全て本部審査となりますので、初回時より時間がかかるということがよくあります。

異議申立時の提出書類として主に注目したいものは以下の通りです。

①神経学的所見の推移について

主に、後遺障害等級12級13号を獲得するために重要な点ですが、医師の診察の中で、スパーリングテストやジャクソンテストといった検査が行われ、陽性と判断されているか、また結果がどのように推移しているかが重要です。神経の走行によって、どの部位に症状が出るか決まっていますので、痛みや違和感をきちんと正確に伝えるようにすることが大切です。

②愁訴の一貫性

愁訴とは、医学的な照明が明確にはできないが、本人が確かに感じているとされる自覚的症状です。後遺障害等級12級13号については、他覚的所見がひとつの基準として重要であり、本人の訴えと、その症状とを結びつける医学的根拠が結びつく必要があります。一方で、後遺障害等級14級9号は、この他覚的所見はないものの、事故当初から症状固定までの痛みが継続し、一貫していること、またそれが、単なる故意の誇張ではないことが要件となっています。これらを客観的に証明するものとしては、初回の被害者請求時に提出した診断書及び診療報酬明細書に加え、病院が記録するカルテが有用です。診断書等には記載されていない本人の訴えや細かい診察の状況が記載されている可能性が大いにあるため、開示請求を行い、資料とすることも1つの方法です。

③休業損害及び収入減少の裏付け資料、日常生活動作の不具合の陳述書

後遺障害に基づく休業やそれに伴う収入減少が起きていることが証明できれば、後遺障害や痛みの残存を客観的に証明できる材料となり得ます。また、具体的な日常的動作における障害を訴えたり、家族など客観的な目線から感じる不具合を陳述したりすることも重要です。後遺障害の取得を見据える場合には、具体的にどのようなところに不具合があるかを、メモでも構いませんので記録しておくと良いでしょう。

④物損事故の程度を表す資料

後遺障害と事故時の衝撃には、一定以上の関連性があります。物損の度合いが大きければ、本人にかかった衝撃も相当程度のものがあったということを証明してくれるでしょう。調査事務所の担当者によっては、追加でこのような資料の提出を求めてくる場合もあります。物損事故の程度を表す資料は、必ず被害者側と加害者側双方のものが必要です。

なお、異議申立は、一応無制限に行えます。結果に不満が残れば、原則は何度でも異議申立が可能です。しかしながら、一定の区切りは必要です。そのための最終判断的な位置付けとして、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構への調停の申請があります。「調停」とはいいますが、裁判所の調停とは異なり、双方の言い分は書面で提出され、お互いが直接出向くような場は設けられません。この手続きは、後遺障害の異議申立のみならず、保険金の支払に関わること全般に利用ができますが、例えば、被害者が自分の契約している人身傷害保険の保険金に関し申立てるというようなことはできませんのでご注意下さい。利用のタイミングとしては、異議申立を一度は行ったあとに行われることが好ましいです。

 
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