Q④-1:同乗者は事故の責任があるの?

友人の車に乗った際に事故に遭いました。友人は、一緒に乗っていた私にも責任があると言って損害の一部を賠償してくれません。友人の運転について、一緒に乗っていた私にも落ち度があるのでしょうか?

A:同乗していたこと自体は過失に当たりません。

事故や損害の原因が被害者にもある場合、その程度に応じて賠償額が減額されます。たとえば、ある事故について被害者に2割の過失がある場合、被害者は、全損害額の8割しか賠償を受けられません(これを特に「過失相殺」といいます。ただし、自賠責保険については、被害者に重大な過失がない限り過失相殺はされません。)。このように、法律は、事故の全責任を加害者に負わせるのが酷な場合に、様々な理由で損害賠償額の減額を認めています。
 確かに、あなたはご友人の好意に甘えて同乗したわけですから、事故の全責任をご友人に押しつけるのは少し気の毒にも思えます。現に、こうした意味での減額を認めた裁判例も存在しています。
しかし、こうした裁判例は今ほど自動車が普及していなかった時代のものであり、他人の自動車に同乗する機会の多い現代においては通用しません。また、ほとんどの交通事故損害では、被害者への賠償は自動車保険によって行われていますから、賠償額を減額しないからといってご友人に不利益が及ぶことは少なくなってきています。
 したがって、ご友人の好意に甘えて同乗していたという事実は、損害賠償額を減額する根拠とはなりません(ただし、運転の危険性を承知で同乗したり、危険な運転をあなたが誘発したような場合は別です)。

 
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