Q①-4

どのような場合にADRを利用するのがよいのでしょうか?

A:以下のような場合に利用すると良いです。ただし、複雑な後遺障害や過失割合で争っている場合の係争については、司法に委ねる方が好ましく、ADRにはなじまないと考えた方が良いでしょう。

・交渉段階ではどうしても赤本基準満額の慰謝料を引き出せない場合で、依頼者の意向が強い場合

・加害者側は一定の賠償義務を認めているが、個人事業主の休業損害の認定など議論が有り得る部分で保険会社との溝が埋まらない場合

・ドライブレコーダー映像や刑事記録など客観的な証拠はあるが、保険会社との間で過失見解に齟齬がある場合

通常、民事事件に分類される諸事件は、交渉で話がまとまらなければ調停または裁判へと移行しますが、交通事故の場合は、ADR(裁判外紛争解決手続)がいくつか存在します。原則として、申立人は裁定結果にのみ拘束されますが(実は、法的拘束力もありませんが)、保険会社は、ADRのあっせん案や裁定を尊重する取り扱いになっています。

早期解決の観点から、通常ADRでは3~5回で和解解決することが多いです。利用を検討する事案は、大きく分けて以下の3通りです。

(1)交渉段階ではどうしても赤本基準満額の慰謝料を引き出せない場合で、依頼者の意向が強い場合

(2)加害者側は一定の賠償義務を認めているが、個人事業主の休業損害の認定など議論が有り得る部分で保険会社との溝が埋まらない場合

(3)ドライブレコーダー映像や刑事記録など客観的な証拠はあるが、保険会社との間で過失見解に齟齬がある場合

(1)のような事案で言えば、実務上、概ね裁判基準の9割程度で示談できればよいところがありますが、被害者が「1割でも譲れない」と考える場合です。(2)のような事案で言えば、休業損害や営業車両の休車損害など、交渉段階では保険会社が認定しなかった場合などにおいては、ADRで弁護士に仲裁に入ってもらうことで、被害者に有利なあっせん案が出る可能性があります。

ADRのデメリットとしては、後遺障害等級を争うような複雑な事案や、受傷疑義があり任意保険会社が一切賠償を認めていない事案についてはADRになじまない点です。仮にこのような点を争点としてADRに申し立てたとしても、相手方(保険会社)から訴訟移行の上申書が提出され、手続が打ち切られる可能性もあります。また、遅延損害金や、弁護士費用の請求ができない点もデメリットでしょう。

 
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