予想される損害額

ケーススタディ

兼業主婦(パートタイマー月約9万円)につき,医学的証明が困難なむち打ち症により,6ヶ月の通院に加え,パートは1ヶ月間の休業を余儀なくされた,家事は6ヶ月支障が出た場合。6ヶ月後,常時むち打ちの痛みがとれないが,症状固定となった。

損害額の主な費目としては,傷害慰謝料,休業損害,後遺症が生じた場合は,後遺症慰謝料,逸失利益の四つが重要です。

1 傷害慰謝料:約90万円

6ヶ月通院された場合の傷害慰謝料は,裁判所の基準で約90万円になります。

2 休業損害:約50~100万円(個別の事情により増減はあります。)

パートタイマーとしての休業損害は,9万円です。
問題は,家事労働です。
家事労働は金銭に換算できるものではありませんが,これについても休業損害の請求が可能です。家事労働に関する休業損害は,全女性の平均年収をベースに計算をするルールになっています。近時,全女性の平均賃金は約360万円とされておりますので,これを365日で日割りにした約9,800円が休業損害の日額になります。
家事休業で難しいのは休業期間の評価です。本件でいえば治療期間が6ヶ月(30日×6月=180日)あり,先ほどの日額約9,800円を掛けると170万~180万円になります。しかし,これは6ヶ月間にわたり家事労働が一切できなかったという前提での算定であり,本件類似事例では,多くの場合,症状が残存しつつも治療期間のどこかの時点で家事労働が再開されていくのが通常かと思われます。
保険会社と交渉しますと,家事労働者の休業期間を数週間程度に限定してくるケースが散見されます。
しかし,怪我は突然には治りません。通院を終えるまでに徐々に回復し,少しずつ家事ができるようになっていくのです。こうした実質を捉え,たとえば最初の1ヶ月間は100%休業,翌月は80%休業・・・といったような段階的な主張を行う等により,当該被害者にとって最大限有利な賠償を獲得していくことが重要です。
なお,兼業主婦については給与所得者としての側面もございますが,この場合,被害者としては実収入に対する給与所得者としての賠償と上述した家事労働に対する賠償のいずれか有利な方を選択することが可能です。実態を見ていると,本件類似事例では家事労働者としての休業補償を選択するケースが多いように思われます。

3 後遺障害慰謝料:約110万円

本件で被害者に後遺症が残った場合,自賠責において14級9号の後遺障害が認定される可能性があります。
後遺障害が認定された場合,上述した傷害慰謝料とは別に,後遺障害に対する慰謝料が請求できます。14級の場合,慰謝料金額としては110万円が裁判所の基準です。
保険会社は,これよりもかなり低い金額を提示しますが,当事務所では,これを下回る解決はしない方針です。

4 逸失利益:約60~80万円(個別の事情により増減はあります。)

後遺障害が認められたようなケースですと,治療が終了した以降も,残存した症状が家事労働に支障を及ぼすことが懸念されます。こうした将来起こりうる損害に対する賠償を「逸失利益」と呼びます。
詳細な計算方法は省略しますが,裁判例上,14級9号のケースにおける家事労働者の逸失利益は約60~80万円と算定されることが多いと思われます。
保険会社は,これよりもかなり低い金額を提示したり,後遺障害慰謝料と一括で100万円から120万円程度を提示してくる場合があります。
当事務所では,裁判基準に準じた基準で交渉によって解決してきた実績があります。
お怪我が回復しきれなかった場合,将来にわたって残存した症状と付き合っていく必要がありますが,症状固定後の将来治療費を保険会社に請求することは原則として認められません。こうした将来への備えという意味でも,後遺障害の認定は極めて重要な意味を持ちます。

以上をまとめると,本件における最終賠償額は約310~380万円が目安となります。

 
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